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16- D- 0147 201 6 年 6 月 7 日
総合建設大手各社の 16/ 3 期決算の
注目点
総合建設(ゼネコン)大手各社(大成建設、大林組、清水建設、鹿島建設の 4 社)の 16/ 3 期決算および 17/ 3 期業績予想を踏まえ、株式会社日本格付研究所(J C R)の現況に関する認識と格付上の注目点を整理した。
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業界動向
建設工事受注動態統計調査によれば、15 年度の大手 50 社の国内建設工事受注総額は 13 兆 6, 780 億円(前 年度比 0. 6%増)と 5 年連続で増加するなど、国内建設市場は総じて堅調に推移している。発注者別では公 共機関が過年度の大型補正予算の反動などにより前年度比 15. 6%減となった一方、製造業を中心に受注を伸 ばした民間が同 7.9%増となり公共機関からの受注の落ち込みを吸収した。
今後、近年の建設需要をけん引していた東日本大震災の復旧・復興工事のピークアウトが予想されるが、 東京オリンピック関連、リニア中央新幹線、首都圏を中心とした再開発などの大型プロジェクトが控えてお り、当面、国内建設市場は底堅く推移する見通しである。但し、東京オリンピック後の 20 年以降の建設需 要は減少する懸念があり、需要減少に備えた事業体制の構築が中長期的な課題である。
海外では、東南アジアなどにおいてインフラ需要が引き続き堅調である。ゼネコン各社とも中長期的な成 長の観点から、海外建設事業に取り組んでいる。ただ、現状は事業基盤の確立に注力している段階であり、 早急な収益拡大は見込みにくい状況にある。
こうした中、ゼネコン各社とも採算重視の受注姿勢を堅持している。今後も施工能力を勘案しつつ、コス トアップに配慮した慎重な受注活動を展開していくと予測される。
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決算動向
16/ 3 期の大手 4 社の建設事業受注高合計(単体)は 5.2 兆円(前期比 0.5%増)と 3 期連続の増加であっ た。前期の大型受注の反動減の影響を受けた会社が見られたものの、総じて好調な受注環境であった。17/ 3 期の大手 4 社の受注計画は前期比 1. 0%減である。各社の施工能力を考慮すると更なる受注拡大が難しいた め、若干の受注減の計画となっている。
16/ 3 期の大手4 社の連結売上高合計は 6.7 兆円(前期比1. 9%増)と、受注増に伴う前期末の繰越工事高 の増加などにより 5 期連続の増収となった。営業利益合計は 4, 296 億円(同 136. 7%増)と、3 期連続の大幅 増益となった。過年度に受注した不採算・低採算工事の減少や労務単価の上昇一服、資材費の低下などが寄 与している。会社別では、4 社全てが増益となり、特に前期に一部工事における損失を計上していた鹿島建 設の増益幅が大きかった。17/ 3 期の連結売上高合計は 6. 9 兆円(前期比 2. 9%増)、営業利益合計は 3, 740 億 円(同 12. 9%減)と、4 期振りの減益計画である。首都圏の再開発の本格化などによる工事量の増加と大型 工事の施工時期の集中に伴い、労務・資材・機材などの需給がひっ迫し、コストが上昇することを織込んで いるためである。
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16/ 3 期末の財務状況をみると、利益蓄積に伴う利益剰余金の増加などにより、4 社ともに自己資本が前期 末比で増加した。17/ 3 期も従来と比べて高い利益水準の計画であり、利益蓄積による財務基盤の強化が進む 見通しである。また、16/ 3 期末の有利子負債は清水建設を除いた 3 社が前期末比で減少した。17/ 3 期末の 有利子負債は 4 社とも横ばいないしは減少の計画となっている。
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格付上の
注目点
16/ 3 期決算では堅調な建設需要が反映され、4 社合計の受注高、完工高ともに増加した。さらに、不採 算・低採算工事の減少や労務単価の上昇一服、資材価格の低下などによる完工総利益率の上昇により、4 社 合計の営業利益は大幅に増加するなど、総じて好調な決算となった。当面、底堅い建設需要を背景に堅調な 収益が見込まれるが、J C R では以下の三点に注目している。
第一点目は、完工総利益率の維持である。前述の通り、手持ちの不採算・低採算工事の竣工に伴い収益性 を押し下げる工事が減少している。さらに、各社ともに採算重視の受注活動の徹底などにより、足元の受注 時採算性が改善している。但し、16 年後半から首都圏を中心とする再開発が本格化する予定であり、労務単 価や資材価格の上昇が懸念される。今後、こうしたコスト上昇を抑制しながら、高い完工総利益率を維持で きるか注目している。
第二点目は、施工能力の問題である。堅調な建設需要を背景に受注が積み上がっており、受注の消化が求 められている。但し、構造的な建設技能労働者の不足が続いており、生産性を向上させることで施工能力を 引き上げ、受注の消化を進めることが課題となっている。
第三点目は、長期的な収益拡大に向けた取り組みである。当面、国内建設市場は底堅く推移するとみてい るが、長期的には海外建設事業の強化が不可欠と考えている。リスク管理体制の整備状況のほか、大型案件 の受注状況や手持工事の採算性を確認していく。
(担当)窪田 幹也・下田 泰弘
(図表 1)総合建設大手 4 社の業績 (単位:億円)
企業名 決算期
建設事業 受注高
売上高 営業利益 経常利益
親会社株主に 帰属する 当期純利益
大成建設 15/ 3 期 13, 937 15, 733 704 745 382
( 1801) 16/ 3 期 13, 309 15, 459 1, 175 1, 177 770
17/ 3 期予 12, 950 15, 400 1, 000 1, 000 700
大林組 15/ 3 期 12, 782 17, 740 484 599 287
( 1802) 16/ 3 期 14, 002 17, 778 1, 064 1, 112 634
17/ 3 期予 12, 750 19, 150 950 985 630
清水建設 15/ 3 期 14, 214 15, 678 500 562 334
( 1803) 16/ 3 期 12, 846 16, 649 947 955 593
17/ 3 期予 13, 600 15, 700 940 960 650
鹿島建設 15/ 3 期 10, 824 16, 937 127 214 151
( 1812) 16/ 3 期 11, 881 17, 427 1, 111 1, 134 723
17/ 3 期予 12, 200 19, 000 850 900 600
4 社合計 15/ 3 期 51, 757 66, 088 1, 815 2, 120 1, 154
16/ 3 期 52, 038 67, 314 4, 296 4, 378 2, 721
17/ 3 期予 51, 500 69, 250 3, 740 3, 845 2, 580
(出所)各社決算資料
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(図表 2)総合建設大手 4 社の完工総利益率(単体) (単位:%)
企業名 決算期
完工 総利益率
(土木) (建築)
大成建設 15/ 3 期 7. 5 10. 3 6. 4
( 1801) 16/ 3 期 12. 0 16. 3 10. 5
17/ 3 期予 11. 0 12. 7 10. 4
大林組 15/ 3 期 5. 4 9. 1 4. 4
( 1802) 16/ 3 期 10. 8 15. 1 9. 4
17/ 3 期予 9. 5 11. 5 9. 0
清水建設 15/ 3 期 6. 4 8. 6 5. 9
( 1803) 16/ 3 期 9. 9 8. 4 10. 3
17/ 3 期予 10. 3 9. 4 10. 6
鹿島建設 15/ 3 期 0. 8 - 0. 1 1. 1
( 1812) 16/ 3 期 11. 9 14. 6 10. 8
17/ 3 期予 8. 2 10. 5 7. 4
4 社合計 15/ 3 期 5. 0 7. 0 4. 5
(単純平均) 16/ 3 期 11. 2 13. 6 10. 3
17/ 3 期予 9. 8 11. 0 9. 4
(出所)各社決算資料
(図表3)総合建設大手 4 社の財務指標 (単位:億円、%)
企業名 決算期 自己資本 有利子負債
自己資本 比率
大成建設 15/ 3 期 4, 898 2, 733 28. 2
( 1801) 16/ 3 期 5, 179 2, 547 31. 2
17/ 3 期予 - 2, 600 -
大林組 15/ 3 期 5, 077 4, 108 25. 4
( 1802) 16/ 3 期 5, 161 3, 463 26. 4
17/ 3 期予 - 3, 300 -
清水建設 15/ 3 期 4, 769 3, 756 28. 0
( 1803) 16/ 3 期 4, 807 3, 925 27. 9
17/ 3 期予 - 3, 500(以内) -
鹿島建設 15/ 3 期 4, 349 3, 851 23. 6
( 1812) 16/ 3 期 4, 713 3, 785 25. 0
17/ 3 期予 - 3, 750 -
4 社合計 15/ 3 期 19, 092 14, 448 -
16/ 3 期 19, 860 13, 720 -
17/ 3 期予 - 13, 150 -
(出所)各社決算資料
※ 17/ 3 期予の 4 社合計有利子負債の計算では、清水建設分を 3, 500 億円とした
【参考】 発行体:大成建設株式会社
長期発行体格付:A + 見通し:安定的
発行体:株式会社大林組
長期発行体格付:A + 見通し:安定的
発行体:清水建設株式会社
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